大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和45年(オ)735号 判決 1970年11月26日

上告人

北山健夫

外二名

代理人

豊川忠進

被上告人

増尾繁造

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人豊川忠進の上告理由第一点について。

所論指摘の事実関係に関する原審の認定判断は、原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)挙示の証拠関係に照らして首肯することができ、その認定判断の過程に何らの違法も認められない。原判決に所論の違法はなく、論旨はひつきよう、原審の専権に属する事実の認定を非難するか、または、原判決を正解しないでこれを攻撃するものであつて採用することができない。

同第二点について。

所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠に照らして、肯認することができる。そして、原審の確定した事実によれば、本件土地は、かねて孟宗藪であつたところ、本件各売買は、いずれも本件土地を宅地とする目的のもとに、本件第一次売買の売主たる訴外北山小治において、訴外乾清太郎外三名の耕作者を離作させることを定めてなされたものであつて、本件土地の宅地化は、上告らの先代である右北山小治の意思に起因するものであり、また、前記耕作者四名が昭和三〇年三月ごろ本件土地は次第に農地として利用するに適しない状態になり、その後において、本件土地が恒久的に宅地化されるに至つたというのである。このような本件土地が宅地化されるに至つた原因およびその経緯にかんがみれば、右宅地化により、本件各売買は、地方長官の許可を経ることなくして、完全にその効力を生ずるに至つたものというべく、これと同旨の原審の判断は、正当として首肯することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は、ひつきよう、原審の認定にそわない事実を前提とするか、または、独自の見解に基づき原判決を攻撃するものであつて、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い裁判官全員一致で、主文のとおり判決する。(大隅健一郎 長部謹吾 岩田誠 藤林益三)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例